小規模建設業専門サイトメニュー ≫ 労働者と一人親方(個人事業主)の違い
建設業の場合、労働者(労働契約または雇用契約)と一人親方(請負契約)の法的な違いを認識しないまま作業に従事させているケースが少なくありません。両者の実態面での違いを簡潔に対比すると次のようになります。
労働者=労働(雇用)契約に基づいて働いている |
一人親方=請負契約に基づいて働いている |
○雇用関係にあるので、労働者は会社(雇用主)の指示に従いながら作業に従事する。 |
○請負関係にあるので、依頼された仕事 |
○雇用関係にあるので、賃金のベースに |
○請負関係にあるので、請負契約等に |
○雇用関係にあるので、基本的に作業で使用する機材や工具類等の購入費用は会社負担となる。 |
○請負関係にあるので、基本的に作業で使用する機材や工具類等の購入費用は自己負担となる。 |
○雇用関係にあるので、会社は仕事中に怪我をした場合、労働基準法上の補償の責めを負う。 |
○請負関係にあるので、注文者は仕事中に怪我をした場合、労働基準法上の補償の責めを負わない。 |
○雇用関係にあるので、会社側には《労働者名簿》、《賃金台帳》、《出勤簿》の作成および《月に1回以上の賃金支払い》、《健康診断》を行うことが義務付けられている。 |
○請負関係にあるので、基本的には仕事を依頼する都度、本人と契約を結ぶ必要がある。なお、注文者は健康診断を行う必要はない。(日々の健康管理も自己責任) |
○雇用関係にあるので、労働者への賃金は給料扱い《給与所得》となり、会社側には所得税の源泉徴収が義務付けられている。 |
○請負関係にあるので、本人への報酬は外注費扱い《事業所得》となり、注文者は所得税の源泉徴収を行わない。(本人が確定申告により納付) |
社会保険加入にあたっての判断事例集(一人親方向け).pdf (国土交通省作成の資料)
社会保険加入にあたっての判断事例集(建設企業向け).pdf (国土交通省作成の資料)
(参考) 社団法人 高知県建設業協会 平成16年12月 |
問3-3 労務のみの常傭工事は、単価契約であることが多いが、請負契約工事となるので
答 個人(労働者等)が事業者として契約する場合は、請負契約工事に該当します。 |
◆労働者と一人親方を区別することの必要性
@元請労災の補償対象に関する当否の確認
→ 事業主に雇用されている労働者の場合、元請企業が加入している政府労災の補償対象と
なりますが、事業主に雇用されていない一人親方(労働者には該当しないと判断された者
も含む)については補償対象外となるため、元請企業や上位会社としては労働者に該当し
ない作業員に対し、別途、一人親方特別加入への加入勧奨が必要となります。
A社会保険未加入問題への対応
→ 国交省が制定した「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、協力会社の果
たすべき役割として、「労働者である社員と請負関係にある者の二者を明確に区別した上
で、労働者である社員についての保険加入手続を適切に行うこと」が挙げられており、
また元請企業に対しては協力会社の社会保険加入状況を把握し、未加入である場合には
加入勧奨を行うよう求めています。
B税務調査時における納付漏れ指摘の予防
→ 発注元事業所に対し税務署による調査があった際、発注先である一人親方の就労実態が自
社の労働者であると判断されてしまうと、本来は給与所得として給与から所得税を源泉徴
収し納付しなくてはならないところを納付しておらず、また消費税についても外注費とし
て処理していたため本来納付すべき金額よりも過少に申告していたことになり、その結
果、過去の所得税および消費税プラス延滞税や加算税まで課されるおそれがあります。
参考リンク:労災保険給付不支給処分取消請求事件 最高裁判決 平成19.6.28
平成12年労第297号 労働者性関係事件 (厚生労働省労働保険審査会)
大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて(国税庁)
関連リンク:雇用通知書
「労働者を指揮監督する」とは
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◆小規模建設業者様に対して当事務所がお手伝いできること◆ |
・就労実態を確認した上で労働者と一人親方のどちらの性格が強いと思えるかをお伝えし、 働き方を見直される際の注意点についてアドバイス致します。 ・必要に応じて請負契約書も作成致します。 |
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