現場までの移動時間や準備時間
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◆労働時間とは

労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを意味しています。これは例えば実際に何も作業をしていない状況であっても、使用者からの指示待ちの状態(使用者によって拘束され、労働者が自由にできない時間)であれば労働時間に該当することになります。そのため会社から現場までの移動時間や現場での作業終了後に会社に戻り片付けをしている時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると判断できる場合には労働時間とみなされます。

裁判例@ 総設事件 東京地裁 平20.2.22判決 労働判例966号51頁

元配管工らが、会社から一方的に即日解雇されたことを理由に、解雇予告手当と残業代(集合から現場までの往復移動時間と終業後の片付け等の時間)を請求した事件

《業務実態》

・ 会社の所定就業時間は午前8時 〜 午後5時までだった。
・ 従業員らは、6時30分頃に事務所から徒歩5分ほどの場所にある資材置き場にバイクや車で
  来てそこで会社の車両に資材等を積み込み、その後6時50分頃には事務所に集合していた。
  なお、事務所に集合することが原則化しており、現場に直行する者はまれだった。
・ 事務所では、使用者と親方らによる番割りや留意事項等の業務の打合せが行われその間、従
  業員らも倉庫から資材を車両に積み込んだり入る現場や作業につき親方の指示を待つ状態に
   あった。
・ 車両による現場への移動も、使用者からの指示等に基づき親方と組になって赴いていた。
・ 現場での作業を終えた後も、行きと同様に親方と組になって車両により事務所へ戻ることが
  原則化しており、戻ってからは道具の洗浄や資材の整理等をしていた。

東京地裁は次のような理由から事務所集合後の準備時間や、現場までの移動時間、現場から事務所までの移動時間、事務所に戻った後の道具の洗浄等をしている時間についてを使用者の指揮命令下に置かれている労働時間として認め、当該時間における割増賃金の支払いを命じました。

・ 朝に事務所へ午前6時50分には来ることを使用者から実質的に指導されていたと評価できる
・ 直行の場合を除いて少なくとも午前6時50分以降は使用者の作業上の指揮監督下にあるか、
 使用者の明示又は黙示の指示により業務に従事していたものと考えられる
・ 車両による移動時間は、拘束時間のうちの自由時間とは言えず実働時間に含めて考えられる
   べきものである
・ 現場での作業を終えた後に事務所へ戻ることも原則化していた
・ 事務所に戻った後は、使用者からの黙示の指示により道具の洗浄等の業務に従事していた
  ものと考えられる




裁判例A 阿由葉工務店事件 東京地裁 平14.11.15判決 労働判例836号148頁

労災事故に遭った後に退職した元従業員が、休業補償給付金や残業代(現場までの移動に要した時間等)などを請求した事件東京地裁は、次のような理由から会社事務所と現場との往復は通勤としての性格を多分に有するものであり、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている労働時間には当たらないと判断しました。

・ 出勤の際、会社事務所に立ち寄り、車両により単独または複数で現場に向かっていたこと
・ 車両による移動は会社が命じたものではなく、車両運転者、集合時刻等も移動者の間で任意
  に定められていたこと
・ 当日の作業内容については前日までに決まっていたことが多く、改めて会社事務所において
   指示されず、その必要もなかったこと




(参考) 最高裁での判例により確立している準備時間や不活動時間についての考え方
三菱重工長崎造船所事件 最高裁第一小法廷 平12.3.9判決

(要旨) 
労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。

大星ビル管理事件 最高裁第一小法廷 平14.2.28判決 

(要旨)
労働基準法32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(不活動時間)が労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものというべきである。そして、不活動時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。したがって、不活動時間であっても労働からの解放が保障されていない場合には労働時間に当たるというべきである。そして、当該時間において労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているというのが相当である。

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実態を確認した上で労働時間の当否や見直される際のポイントについてアドバイス致します。


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