小規模建設業専門サイトメニュー ≫ 労働災害が発生した際の事業主責任
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合に事業主は、次のような責めを負うことになります。
災害補償上の責任
労働基準法 第75条〜80条(災害補償) 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合には補償を行わなければならない |
労働基準法 第87条(請負事業に関する例外) 厚生労働省令で定める事業(建設の事業)が数次の請負によつて行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす |
・ 労災保険から給付が行われた場合には、元請業者は上記の責めを免れることになります。
民事上の責任
民法 第415条(債務不履行による損害賠償) 債務者(使用者)がその債務(労働者の身体・生命に対する安全配慮義務)の本旨に従った履行をしないときは、債権者(労働者)はこれによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも同様とする |
民法 第709条(不法行為による損害賠償) 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者はこれによって生じた損害を賠償する責任を負う |
民法 第715条(使用者等の責任) ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない 2、 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う 3、 前ニ項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない |
・ 労災保険は、精神的苦痛に対する慰謝料など損害のすべてをカバーしているわけではない
ので、労災保険給付を超える損害に関しては民事上の損害賠償の責任が問われます。
関連リンク:平成6.9.27横浜地裁判決 (全基連のページ)
刑事上の責任
労働安全衛生法 (罰則) 第119条 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する 第120条 50万円以下の罰金に処する 第122条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その 法人又は人の業務に関して、第119条、第120条の違反行為をしたときは、行 為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する |
刑法 第211条(業務上過失致死傷等) 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする |
行政上の責任
建設業法 第28条第1項(指示及び営業の停止) 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又は(略)当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる |
3 建設業者(建設業者が法人であるときは、当該法人又はその役員)又は政令で定める 使用人がその業務に関し他の法令(入札契約適正化法及び履行確保法並びにこれらに 基づく命令を除く。)に違反し、建設業者として不適当であると認められるとき |
・ 役職員が労働安全衛生法違反により刑に処せられた場合は、原則として指示処分が行われ
ます。但し、工事関係者に死亡者又は3人以上の負傷者を生じさせたことにより業務上過失
致死傷罪等の刑に処せられた場合で、特に重大な事故を生じさせたと認められる場合には、
3日以上の営業停止処分が行われます。
関連リンク:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準 (国土交通省のページ)
労働安全衛生法 第98条(使用停止命令等) 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、(安衛法および安衛則等)の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者又は建築物貸与者に対し、作業の全部又は一部の停止、建設物等の全部又は一部の使用の停止又は変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができる |
4 都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、請負契約によつて行われる仕事について 第一項の規定による命令をした場合において、必要があると認めるときは、当該仕事 の注文者(当該仕事が数次の請負契約によつて行われるときは、当該注文者の請負契 約の先次のすべての請負契約の当事者である注文者を含み、当該命令を受けた注文者 を除く。)に対し、当該違反する事実に関して、労働災害を防止するため必要な事項 について勧告又は要請を行うことができる |
・ 監督署による調査、監督の実施において、安衛法や安衛則等に違反があった場合は、設備の
使用停止命令や作業中止命令等の行政処分が行われます。また、この他にも是正勧告や指導
票による勧告、指導が行われます。
上記以外にも、労働災害発生時に偽装請負などの事実が発覚した際は、

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