定期に、医師による健康診断を行わなくてはなりません。なお、事業者は健康診断を受けた労働者に対し、診断結果を通知する義務があり、また、常時50人以上の労働者を使用する事業者が定期健康診断を行ったときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄の監督署に提出しなければなりません。
◆一般健康診断の種類(一部省略)
健康診断の種類 | 対象となる労働者 | 実施時期 |
雇入時の健康診断 | 常時使用する労働者 | 雇い入れの際 |
定期健康診断 | 常時使用する労働者 | 1年以内毎に1回 |
特定業務従事者の健康診断 ※深夜業務従事者も含む |
労働安全衛生規則第13条第1項第2号 に掲げる業務に常時従事する労働者 |
配置替えの際および 6ヵ月以内毎に1回 |
ここで特に注意すべき点は、深夜業務に従事する労働者について、週に1回以上または月に4回以上行っている場合、当該労働者に対して少なくとも年2回の健康診断を行わせなくてはなりません。
(参考) 昭23.10.1 基発 第1456号 |
「深夜業を含む業務」とは業務の常態として深夜業を1週1回以上又は1月に4回以上行う業務をいう。 |
◆『常時使用する労働者』に含まれる者
有期契約労働者 |
・契約更新により1年以上使用されることが予定されている者
・契約更新により1年以上引き続き使用されている者
短時間労働者 |
所定労働時間数の4分の3以上である者(4分の3未満であっても概ね2分の1以上である者
については健康診断を行うことが望ましい)
※派遣社員は含まれません。(派遣元に受診義務有り)
◆定期健康診断の項目
・問診(既往歴、業務歴、喫煙歴および服薬歴の確認)
・自覚症状および他覚症状の有無の検査
・身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
・胸部エックス線検査
・喀痰検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査
※上記のうち、受診者の年齢および医師の判断に基づき一部省略される項目があります。
◆費用の負担について
通達(昭47.9.18 基発第602号)において、『労働安全衛生法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものである』という見解が示されています。
◆受診のために要した時間は労働時間に該当するか
通達(昭47.9.18 基発第602号)において、『労働者一般を対象とする一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議によって定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと』という見解が示されています。
◆健康診断実施後の措置
事業者は健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者については、就業上の措置について、健康診断実施後3ヵ月以内に医師等の意見を聞かなくてはなりません(労働安全衛生規則第51条の2)。
【医師等からの意見聴取に対する結果】
・通常勤務
☞ 通常の勤務でよい。
・就業制限
☞ 勤務による負荷を軽減するため、労働時間の短縮、出張の制限、時間外労働の制限、労働
負荷の制限、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少、昼間勤務への転換等の
措置を講じなくてはならない。
・要休業
☞ 療養のため、休暇、休職等により、一定期間勤務させない措置を講じなくてはならない。
常時50人未満の労働者を使用する事業所の場合、産業医の選任義務がないため、一般的には各都道府県内にある地域産業保健センターを活用する形で意見聴取を依頼します。
医師等による意見聴取広報用チラシ(宮城産業保健総合支援センター).pdf
◆健康診断結果の記録
事業者は、健康診断の結果に基づき、健康診断個人票を作成して、これを5年間保存しなくてはなりません。 健康診断個人票様式
健康状態の悪化により労働者が倒れてしまった場合、法律で義務付け
